今季はマシンのレギュレーションが大幅に変更されたF1。
開幕当初はDRSゾーン延長を見送りしていたFIAだったが、
スペインGPを前で延長が決定した!
開幕当初FIAはDRSゾーン延長を見送っていた
出典:http://jp.visitmelbourne.com/regions/Melbourne/Events/Sports/Motor-sport/2017-Formula-1-Rolex-Australian-Grand-Prix.aspx
今季はF1マシンに関するレギュレーションが大幅に変更された。
昨年までよりも車体がワイド化され、一部では史上最大レベルと言われる程大規模なレギュレーション変更が行われた2017年シーズン。
「より速く」を目的として、タイヤとボディーを中心に大きな見直しが行われ、昨シーズンと比較して一周辺り3秒から5秒速くなると見積もられている。
車体やタイヤの幅が拡大したことにより、これまで以上にダウンフォースとタイヤのグリップも効くようになり、コーナリングスピードは格段に向上したのが大きな要因である。
これにより開幕前には、コース上での追い抜きはこれまでよりも難しくなるだろうと言われていた。
予想されていた通り、開幕戦のオーストラリアGPでは確かに昨年よりも追い抜きが減ったというデータが示されていた。
これを受けFIAは、現在各サーキットに設けられているDRSゾーンをこれまでよりも長くする対応策を設けることを検討すると伝えられていた。
今季の追い抜き問題に関しては、テクニカル・ワーキンググループにおいても議論されたという。
だが、ある関係者が語ったところによれば、FIAはそのときワーキンググループのメンバーたちに対し、現状は満足できるレベルにあるとの考えを示したという。
そして、FIAはロシアGPが開催されたソチにおいて、すべてのチームに対し、今シーズンの残りのレースにおいてもDRSゾーンの延長は行わないとの結論に至ったことを通知したと伝えていた。
DRSゾーンとは?
出典:http://www.as-web.jp/overseas/54598/attachment/drs
DRSとは、マシン走行中にリアウイングの角度を意図的に変更することで空気抵抗を減らし、結果としてストレート速度の向上をめざすデバイスのことを指す。
DRSは、Drag Reduction Systemの略で直訳すると「ドラッグ抑制システム」。
登場した当初は可変リアウィングと呼ばれていたが、徐々にDRSの呼称に統一されていった。
2010年まではフロントウィングに装着されていた可変フラップがその役割をしていたが、2011年からF1に導入されることになった。
オーバーテイクウイングとも呼ばれ、5cmの可動が許可されている。
DRSのどこでも使用できるわけではなくサーキット毎に決められており、測定区間内でDRS使用条件に合致した場合に使用出来る。
鈴鹿サーキットではターン18(カシオトライアングル)の後30m地点からターン1までの区間と決められており、測定区間はターン15(300R)の後70m地点となっている。
ここにきてDRSゾーン延長決定
オーストラリアGPと中国GPを分析したところ、DRSゾーンを拡大する必要はないと考えていたFIA。
しかし前回のロシアGPでは、オーバーテイクの回数が極端に少なかったことから、スペインGPでメインストレートのDRSゾーンを100メートル延長することを決めた。
本来の計画では、最終コーナーから157m過ぎた地点にアクティベーションポイントを設置する予定だったが、最終コーナーから57m過ぎた所よりDRSゾーンとなることがチームに通達された。
賛否両論あるDRS
テクノロジーが進化した近代F1においては、年々オーバーテイクが難しくなる傾向にあった。
オーバテイクがモータースポーツの醍醐味であるが、それが難しくなってしまうとレースがつまらなくなってしまう。
その解決策として誕生したのがこの「DRS」。2011年に人工的にオーバーテイクをしやすくするシステムが導入された。
各サーキットごとに1か所か2か所、ストレート部分にこのDRSを作動可能な区間(DRSゾーン)が指定されている。
その前に通過する検知ポイントで前のクルマとの差が1秒以内であれば、ここでリアウイングの一部を開き、空気抵抗を減らすことで一時的にF1カーの速度を上げ、前車を追い抜くことができるようになっている。
だが、こうした人為的なオーバーテイク支援は本来のモータースポーツの趣旨からすれば好ましいものではないとの考えもある。
新F1オーナーのリバティ・メディアからF1モータースポーツ責任者に指名されたロス・ブラウンも、このシステムを撤廃したいとの考えを持っていることが知られている。
DRSがなくなればオーバテイクは難しい
出典:http://www.topnews.jp/2014/08/07/news/f1/f1drivers/felipe-massa/111355.html
だが、ウィリアムズのフェリペ・マッサはDRSをなくすということは、現在のF1からオーバーテイクをなくすことを意味するものだと次のように続けた。
「DRSが発明されるまでは、オーバーテイクはずっとそんな感じだったんだ。昔は、レースでミスを犯したり、何か問題が起きたりしなければ、多かれ少なかれスタートしたときと同じ順位でゴールしていたものだよ」
「つまり、DRSがあることで、以前と同じようにはならないということさ。だけど、もしDRSがなくなれば、ほかのドライバーを追い抜ける者は誰もいなくなるよ」
とマッサは付け加えた。
まとめ
技術の進化によって新たな問題が出てくるのは仕方ないことだが、個人的な意見を言えばDRSを無くすことに賛成はできない。
確かに人工的な力を使って追い抜くのは如何なのもかと考えてしまうが、やはりファンとしては多くのオーバーテイクの瞬間を見たいと思ってしまう。
モータースポーツの頂点に立っているF1だからこそ、少しでも早く走ってほしいと期待もしているし、その中でたくさんのバトルを見たいと思っているのはわがままなのであろうか?
これからもたくさんの進化を期待したい。