認知症を検査する方法は?種類別の症状や対応についても詳しく紹介!

今や国民病とも言われている「認知症」。

2012年時点で65歳以上の高齢者の約15%の方が認知症を発症しているとまで言われています。

さらにこれから先も認知症になる方は増加すると予想され、2025年には730万人に達するとも言われています。

これは65歳以上の5人に1人が認知症を発症する見込みとなっており、認知症への正しい知識が必要になってくるでしょう。

そこで今回は認知症の検査方法種類別の症状などについてお伝えしたいと思います。

認知症とはどのような病気か?

認知症とは何らかの原因で記憶・判断力などの障害が起き、日常生活が行えなくなる病的状態を言います。

加齢による物忘れとは違い、正常だった脳の働きが徐々に低下する病気です。

年を取ると誰もが人の名前をすぐに思い出せなくなったり、物を自分がしまったのにも関わらすしまった場所忘れてしまったりするものです。

認知症は一般的な加齢による物忘れとは違い、正常だった脳の働きが徐々に低下する病気で以下のようなことが起こります。

・数分前、数日前の出来事を思い出せない
・新しい事柄を覚えられない
・日時や曜日がわからない
・言葉が出てこない
・仕事の要領が悪くなる
・今まで使えていた道具や家電製品が上手く使えなくなる

以上なことが起こってしまい、日常生活を送ることが困難となります。

認知症を検査する方法は?

認知症であるか、そうでないのかをテストする方法は主に5つの検査方法があります。

・長谷川式スケール
・HMSE検査・ミニメンタルステート検査
・アルツハイマー病 評価スケール(ADAS)
・ウェックスラー成人知能検査(WAIS-R)
・高齢者うつスケール(GDS)

認知症の判断を行うには神経心理検査を行うことになるのですがそれには様々な方法があり、一般的には検査手順に剃っていくつかの設問に答えると言う方法が多いようです。

長谷川式スケール

長谷川式スケールは所要時間10〜15分の間に見当識や計算力などの設問に答えていく方式になります。

30点満点で構成された設問で20点以下になると認知症の疑いがあるとされます。

HMSE検査・ミニメンタルステート検査

HMSE検査世界でもっとも多く使われている方法です。

検査に必要な時間は10〜15分程度となっており、見当識や計算力、図形の描写力などが問われます。

こちらは30点満点で23点以下だと認知症が疑われるようになります。

アルツハイマー病 評価スケール(ADAS)

アルツハイマー病 評価スケールは、認知症と診断された場合にそれの状態をさらに詳しく判断する際に用いられる検査方法となります、

これについては必ずしも全員が受ける検査ではありません。

ウェックスラー成人知能検査(WAIS-R)

動作と言語それぞれの知能を評価する検査になります。

高齢者うつスケール(GDS)

高齢者になると生活環境の変化や体力低下などにより気分が落ち込む「うつ病」になる人も少なくありません。

認知症でもうつ状態なることが多いため、どの程度かを見る検査が高齢者うつスケール(GDS)となります。

認知症検査の流れ

認知症は早期発見早期治療がとても重要となります。

検査の流れとしては以下のように行われます。

1、問診

医師により、これまでの既住歴や症状などの詳しい問診が行われます。

2、身体検査

身体検査では主に以下の5つの検査が行われます。

・尿検査
・血液検査
・内分泌検査
・心電図検査
・胸部エックス線検査

3、画像検査

画像検査で脳の形を調べることで脳内の萎縮の状態を調べたり、脳梗塞・脳腫瘍などの病変がないか「CT」や「MRI」を使った検査を実施しチェックを行います。

脳の働きを調べるためには「SPECT検査」と「PET検査」が行われています。

老化による物忘れと認知症による物忘れの違いは?

老化による物忘れと認知症による物忘れは、知識がある人であればその違いがわかります。

しかし、知識不足の方はなかなかその違いがはっきりわかりにくいのが現状ですのでしっかりした違いを理解しておく必要があるでしょう。

老化による物忘れ

まずは老化による物忘れについてですが、以下のような特徴が挙げられます。

・体験の一部を忘れる
・ヒントを与えられると思い出す
・時間や場所などの見当がつく
・物忘れに対して自覚がある

以上が老化による物忘れの特徴になります。

認知症による物忘れ

認知症による物忘れは以下の特徴が挙げられます。

・体験全体を忘れる
・新しい出来事を記憶できない
・時間や場所の見当がつかない
・日常生活に支障がある
・物忘れに対して自覚がない

以上が認知症による物忘れの特徴になります。

老化と認知症による物忘れの一番の違いは、

「物忘れの自覚があるのか?ないのか?」

という点が最大の違いと言えるでしょう。

認知症の種類は?症状の違いとは?

認知症になってしまう原因は病気によって様々な種類があります。

日本では以下の3つが主な認知症の種類として分類されています。

・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症


出典;http://feel-japan.net

この3つの認知症がほとんどを締めており、3大認知症と言われています。

アルツハイマー型認知症

3大認知症の中で最も多いのがアルツハイマー型認知症になります。

進行性の病気で現在の医学では完全に治療することはできておらず、原因の方も完全に解明されていないのが現状です。

現時点でわかっていることは脳内に「アミロイドβ」や「タウ」などの異常なタンパク質が蓄積され、脳の神経細胞の働きを低下させると言われています。


出典;https://www.saiseikai.or.jp

軽度・中度・高度のアルツハイマー型認知症は以下の症状が現れると考えられます。

軽度のアルツハイマー型認知症

・迷子になる
・お金の扱いや請求書の支払いにk問題が生じる
・同じことを何度も繰り返して話す
・普通の日常作業をこなすのに時間がかかるようになる
・判断力が低下する
・物を失くしたり、起き忘れたりする

中度のアルツハイマー型認知症

・記憶障害や錯乱が悪化する
・家族や友人を認識しにくくなる
・新しいことを覚えられない
・複数の手順による作業(着替え等)が困難になる
・新しい状況へ対応しにくくなる
・幻覚・妄想が現れる
・衝動的行動が現れる

高度のアルツハイマー型認知症

・コミュニケーション能力の喪失
・体重減少
・けいれん発作
・皮膚感染症
・燕下(えんげ)困難
※口の中の食物を胃にのみ下すこと。
・うめき声をあげる
・排便・排尿障害
・睡眠時間の増加

進行度合いの症状は以上となっています。

最終的には身体機能の低下に伴い、ほとんどをベット上で過ごすか寝たきりになる場合があります。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳内の血管に障害(脳梗塞・脳出血)が起こったことが起きたことが原因で認知症になるものを言います。


出典;https://kokoromasic.com

簡単に言うと、脳血管疾患の後遺症によるものです。

脳結果性認知症の発症には2つのパターンがあります。

・突然の脳血管障害がきっかけにより急激に発症
・小さな脳梗塞を繰り返しながら徐々に認知機能が低下し発症

以上の2つが原因となるのですが、どちらも生活習慣病が原因と言われています。

 

脳血管性認知症は以下の症状・特徴が現れると考えられます。

・物忘れなどの記憶障害
・時間や場所や人物の記憶がうまくできなくなる見当式障害
・物事を計画立てて順にこなすことが困難になる実行機能障害
・運動麻痺・知覚麻痺・言語障害など多様な症状を伴うことが多い
・低下機能と残存機能の偏りが大きい(まだら認知症)
・症状の変動が大きい
・症状に対して本人の自覚が強く、抑うつや怒り・投げやりな態度になりやすい
・感情をコントロールしずらく怒りや悲しみなどが表に出やすくなる感情失禁

 

脳血管性認知症は物忘れなどの症状が初期から見られ、ご本人や周囲の方もそれに気づきますが、症状に波があります。

さらに障害を受けていない機能は正常に保たれているため、『自分や家族が認知症になった』とは思わす認知症の発見が遅れる傾向にあります。

アルツハイマー型認知症が徐々に進行するのに対して、脳血管障害の再発を起こすたびに症状が悪化、進行するのが脳血管性認知症の特徴になります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症はレビー小隊(シヌクレインと呼ばれるタンパク質)が大脳皮質の広範囲に渡って広がり、脳の神経細胞の働きが低下していく病気です。


出典;https://eiyouryouhou.jp

「なぜレビー小体が現れてしまうのか?」という点が一番気になるところですが、その原因については明確なことはわかっていないのが現状です。

他の認知症類型と同じく物忘れなどの記憶障害、時間や場所、人の認識ができなくなる見当障害。

物事を計画立てて行うことができなくなる実行機能障害などの症状も見られますが、レビー小体型認知症に特有の症状が見られます。

レビー小体型認知症特有の症状

幻視(見えないものが見える)

実際にはないものですが本人には「ありあり」と見えるのが、これはレビー小体型認知症の特徴的な症状です。

人によって見えるものは異なりますが「虫」「「小動物」「人」など動いているように見え、『あそこにいる』などと暗い場所や隙間などを指しながら指示することもあります。

そのほか聞こえるはずがない音や声が聞こえる「幻聴」や「人がいる気配」を感じることも少なくありません。

レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症とは違い、物忘れが軽い人が多いと言われています。

見間違い(錯視)

レビー小体型認知症は見間違いが多いのも特徴的な症状になります。

目に見えているものを違いものと感じたり、周囲のものが歪んだり曲がったりして見えることもあります。

妄想

アルツハイマー型認知症の妄想らは物忘れが原因とした被害妄想が多く見られますが、レビー小体型認知症では幻視や見間違いによるもので勘違いから起こります。

人によって内容は様々で、それまでの環境などが原因とされています。

実際の例に挙げると

・『ハエがたくさん飛んできて、自分の顔にまとわりつく』
・『男の人が何人が何人か来て、この家を取ろうとしている』

などといった被害妄想が現れます。

そのほかには『夫が他の女性と仲良くしている』などの嫉妬妄想などが見られることがあります。

パーキンソン症状

レビー小体型認知症にはパーキンソン症状も特徴的な症状となり、主な症状としては

・動きが鈍くなる
・表情が乏しくなる
・小さな声でボソボソと話す
・筋肉・関節が固くなる歩行障害を起こし、転倒しやすくなる

などといった症状があります。

レム睡眠行動障害(悪夢による大きな寝言)

レム睡眠行動障害は、睡眠中に大きな声で寝言や奇声を上げる怒る・怖がる・暴れるなどの行動が見られます。

レビー小体型認知症の最初の症状として出現したと言う人が少なくないため、レム睡眠行動障害がレビー小体型認知症を発症する可能性を表しているとも言えます。

自立神経症状

起立性低血圧・めまい・体調調節障害・頻尿などがあります。

抑うつ症状(意欲や気力の低下)

抑うつ症状はレビー小体型認知症の約5〜6割の人に見られる症状です。

特に初期に現れやすく「気力が塞ぎ込む」「悲観的になる」「うつ状態」などが伴い、意欲や自発性が低下します。

認知症の主な症状とは?

認知症の症状は大きく分けて「中核症状」「行動・心理症状(BPSD/周辺症状)」の2つ分けられます。

中核症状

中核症状は加齢による脳の病的な変化や病気などによって起こる脳の障害になります。

これが原因で脳の細胞が壊れ、脳の細胞が担っていた役割が失われることで起こる症状を言います。

行動・心理症状(BPSD/周辺症状)

行動・心理症状(BPSD/周辺症状)は中核症状によって引き起こされる二次的な症状を言います。

本人がもともと持っている性格や環境、人間関係など様々な要因が絡みあって起こる心理面・行動面の症状です。


出典;https://www.kawasaki-m.ac.jp

認知症の人への対応・接し方は?


出典;https://blogs.yahoo.co.jp

まずは認知症を理解することが大切です。

症状が進行しても感情やその人らしさは残っています。

認知症の人の気持ちに寄り添って、尊厳を保ち不安や苦しみを理解した関わり方や環境作りが必要と言えるでしょう。

関わり方のポイントとしては以下のような点を意識されるといいですね。

1、その人の自尊心や個性を尊重しましょう。
2、言葉になりづらい気持ちを推測しましょう。
3、間違いや失敗を怒らず「大丈夫」と受け入れてあげましょう。
4、何か役割が果たせるように支援しましょう。
5、言葉だけでなく笑顔やスキンシップも心がけましょう。
6、一人ではなく複数の人で支えましょう。


出典;https://blogs.yahoo.co.jp

認知症の人と関わるのはとても大変なことですが、上記で紹介したポイントを心に留めておくだけでもずいぶん対応は変わってきます。

そのほか、その人らしさを大切にしたり、否定ではなく肯定する気持ちで接することがとても大切になります。

「本人は何もわかっていない」という思いは誤りですので、間違ってもそのような対応をしないことを願います。

まとめ

最近では認知症も広く世間に浸透するようになっています。

現在日本では高齢化が進む中、今後ますます認知症への関心が強くなっていることは間違いないでしょう。

認知症の対応をしていく上で一番大切なのは、認知症という病気や症状などを理解することが一番大切になってきます。

この記事を読まれている方で認知症の患者さんを一人で対応されている方もいるかと思われますが、認知症の人を一人で見続けることはとても大変なことです。

それでもご家族や周りの方の理解によって認知症の人への対応はずいぶんと変わってきます。

理解してくれている方がいるだけ対応や気持ちにゆとりができますのでni、一人でも多くの理解者や頼れる方を見るけることをおすすめします。

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